NEXTSCAPE blog

株式会社ネクストスケープの社員による会社公式ブログです。ネスケラボでは、社員が日頃どのようなことに興味をもっているのか、仕事を通してどのような面白いことに取り組んでいるのかなど、会社や技術に関する情報をマイペースに紹介しています。

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セミナー参加レポート:『Webユーザビリティ/UXデザイン実践編』

株式会社ミツエーリンクス主催『Webユーザビリティ/UXデザイン実践編』というセミナーに参加しました。最近、仕事をしていると「UXデザインってなんだ。」と改めて思うことが何度かありました。

ですから、この機会に制作会社大手ミツエーリンクスでUXデザインを専門に担当されているお二人のお話を聞くことで、私の抱えたもやもやとしたところを解消できるのではないかと思いました。そのお二人というのが、UXリサーチャー潮田浩さんとインフォメーションアーキテクトの谷田大輔さんでした。

 前半に潮田さんで「情報設計を行うために、ユーザーに関するリサーチデータをどのように読み解くべきか」、後半は谷田さんで「読み解いたデータから、どのような考え方で情報設計を行っていくのか?」という流れでセミナーは進んでいきました。具体的な例を使った解説も多く、ボリュームたっぷりの2時間でした。

 まずはじめに、ここ数年UXデザインの必要性が高まったのは、モバイルの普及、つまりモバイルは「「いつでも、どこでも」見ることができるという点と「体験」にお金を払う、体験に対して経済的価値観が変化してきている点の2点がその背景にあるということを話してくれました。

 前半の「情報設計を行うために、ユーザーに関するリサーチデータをどのように読み解くべきか」という部分ですが、まずはUX向上のためのプロセスとして重要なのが「人間中心設計の活動」を理解するということでした。そしてそれをWebサイトの構築の言葉で言い換える。いただいた資料の図を摸写すると以下のような感じでした。

 

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(図面1:いただいた資料を摸写しました。)

つまり人間中心設計の計画というのはPDCAを回していく中で、ユーザーの行動の中にある心理をしっかりと「推察」して、情報設計に役立てるということなのだと思いました。そして「人間中心設計の活動」を理解したら、Webサイト構築におけるUXデザインのプロセスの流れを考える。(1)ユーザー要件から始まり、(2)ペルソナ→ジャーニーマップもしくはストリートボード→情報設計・UI設計→(4)プロトタイプ→(5)実装というステップのことです。ここで出てくる(1)ユーザー要件をどのように引き出していくかが、ユーザーの理解です。これについては、いくつかの手法があり、その一般的な調査手法と分類を図に示すと以下のような構成になるというお話だったのでその図も摸写をしました。

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(図面2)

 

表を簡単に説明しますと、定量と言われているのが下側のアンケートやアクセスログ解析であり、主に統計的な根拠が持てるデータです。定量データのメリットは統計的な根拠を持つユーザーの実態を把握できること、またサイトコンセプト内でのチューニングにも活かせるということでした。しかし、デメリットとしては、なぜそのような行動をとっているかが明確にならない。そのため、「体験のデザイン」ではなく、「UIデザイン」に終始してしまうということがあると説明していました。

 

 次に定性と言われているのが上部のインタビューや行動観察です。定性データのメリットは行動の背景にあるものを明らかにしやすいところ。ここで重要なのは、行動の背景にある心理をしっかりと「推察」していくことが大切だと講師の潮田さんは何回か強調して話していました。定性データのデメリットというか、注意点は「ユーザーを理解してデザインする」ということは、「ユーザーの言っていることをそのまま機能・UIに落とし込むこと」ではないということも話されていました。この話を聞いて、この調査の部分をきちんと分析できるとよい形で情報設計に進めるのではないか、このプロセスがとても重要だと私は感じました。

 

 次の部分から後半になり、谷田さんにバトンタッチ。テーマである「読み解いたデータから、どのような考え方で情報設計を行っていくのか?」という話になっていきました。谷田さん曰く、コンセプト策定時には「行動」からの発想だけでは不十分であり、「心理」を捉えることではじめて、理想体験が描ける。そして、理想体験が描けたら、それを叶える機能やコンテンツの発想が可能になる。UI設計・デザインの段階でも「心理」から考え、「心理」(心の声)を捉えることで、機能発想や画面設計が可能になると例題を使って説明してもらいました。また評価・改善についてはUI設計・デザインしたものはあくまでも仮設なので必ず仮説検証をすることを強くおしゃっていました。

 

 全体をまとめるとユーザー理解のためのリサーチは、情報設計のどのレベルにかかわるかを考慮しながら、リサーチ手法の選定・分析を行っていくことが重要である。次にユーザーの「心理」(心の声)まで理解して、はじめて、理想体験→機能発想→画面設計が可能になる。そして、UI設計・デザインしたものはあくまでも「仮説」に基づくものであり、その後もずっと「検証」し続けることその時のニーズを形にできるのかなと思いました。

 

 

私の感想としては、UXデザイン=「体験をデザインする」という考え方というのは少し心理学にも近い視点でユーザーの心の声を「推察」して、綿密な計画の元、PDCAを繰り返すことであり、それにより、快適な体験を顧客に提供することができるのだなと改めて感じました。またサイトの数が増えていく中、差別化しにくくなった現在、他との差別化という視点でもこのプロセスでの設計は今後一層重要になってくると思いました。