NEXTSCAPE blog

株式会社ネクストスケープの社員による会社公式ブログです。ネスケラボでは、社員が日頃どのようなことに興味をもっているのか、仕事を通してどのような面白いことに取り組んでいるのかなど、会社や技術に関する情報をマイペースに紹介しています。

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良い文章が書きたい

この記事は、NEXTSCAPE クラウドインテグレーション事業本部 Advent Calendar 2018 の 13 日目の記事です。

こんにちは、コンサルティング&テクノロジー部の長沢です。

いきなりですが、皆さんはどのような文章を良い文章だと思いますか。
このブログ記事や、現在所属している HoloLens 開発チームのプロモーションサイトに関わることが多くなってきた結果、最近業務で文章を書く機会が増えて来ています。
そうなると、つい自分の書いている文章が、ちゃんとした文章になっているかどうか気になってきてしまいます。

優れた文章というのは決して一つの基準で決まるものではないと思いますが、人に何かを伝えるというのが最も基本的な目的だと思います。
そこで今回は、人に誤解なく伝えられる文章を書くための、パラグラフライティングという手法についてご説明したいと思います。

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パラグラフライティングとは

 

パラグラフライティングといっても、決して複雑な方法ではありません。
パラグラフライティングの主なポイントは以下の通りです。

  • 文章を意味のまとまり毎にパラグラフという単位に分ける
  • 各パラグラフは、以下のルールに従う
    • 最初に、主題を書く
    • 次に、主題を補足する情報を必要なだけ書く
    • 最後に、主題を言い換えたり繰り返すことで補強する

パラグラフライティングに沿って文章を書くことで、文章がわかりやすくなります。
例えば、以下の 2 つの文章を比べてみてください。

例文1:

Mixed Reality (複合現実) は、ビジネスに本格的に適用され始めたばかりの新しい技術であり、多くの可能性が残されている。
また、単純に技術的な要素だけではなく、ユーザーにまったく新しい体験をもたらす技術である。そのため、UI / UX についても新しい発想や工夫が必要とされる。
大変興味深い技術である。

例文2:

Mixed Reality (複合現実) は興味深い。
ビジネスに本格的に適用され始めたばかりの新しい技術であり、多くの可能性が残されている。
また、単純に技術的な要素だけではなく、ユーザーにまったく新しい体験をもたらす技術である。そのため、UI / UX についても新しい発想や工夫が必要とされる。
こうした要素が絡み合う領域であるため Mixed Reality は大変興味深い。


例文1は、最初に主張が語られることもなく、いきなり「新しい技術だ」という言葉から始まります。
そのため、次の文章との関連がよくわからずに、少し散らかった印象となってしまいます。また、文章で伝えたかったことも不明瞭です。
それに対して、パラグラフライティングに沿って記載された例文2の方が、主張が明確です。
パラグラフライティングは、基本かつ有名な手法なので、解説ページや書籍を多く見つけられると思います。

さらに発展的な内容として、トゥールミンモデルというものもあります。
トゥールミンモデルでは、もう一歩踏み込んで、主張される内容が十分に納得できるものであるかを考えるのに役に立つモデルです。
もう一度2番目の例文を読んでみてください。
この例文では、主張は明確になっていますが、この主張は納得できるものでしょうか?おそらくそうは思わない方もいるのではないかと思います。

この文の主張は、「Mixed Reality (複合現実) は興味深い。」であり、その根拠として「新しい技術であり、多くの可能性が残されている。」などを書いてます。
これらの根拠から、主張を導くためには、根拠と主張をつなぐための隠れた根拠 (論拠といいます) が読む人にとって十分納得できるものでなければいけません。
トゥールミンモデルでは、このように挙げられている根拠が主張をするために適切なものかを考える時に頼りになります。興味のある方は、ぜひこちらも調べてみてください。


最後に

 

今回紹介したパラグラフライティング、そしてトゥールミンモデルは、文章を考えるうえでとても頼りになる道具です。

特に、下記の要素が求められるフォーマルな文章では、役立ってくれるでしょう。

  • わかりやすいこと
  • 論理的な飛躍がなく、多くの人にとって納得できる主張がされていること


ただし、言うまでもなく、文章の良し悪しを決める要素は、文章の性質によって様々です。

そして、すべての文章で上記のような特徴が求められるわけではありません。

場合によっては、難解さや論理的な飛躍が印象的な文章を作るための大きな力になってくれることもあります。
極端な例では、まったく何を意味しているかはわからないものの、ただただ素晴らしい文章というのも存在します。

最古の文章というのが何かは、専門家ではない私にはわかりませんが、少なくともギルガメッシュ叙事詩が粘土板に書かれたのは紀元前2千年紀とのことです。
つまり、3千年以上も前から、人は優れた文章を書き続けてきたことになります。その間、天才達によって、無数ともいえる表現が生み出されてきたことでしょう。
確かに、このような膨大な表現を前に、たった一つの基準で、何かを判断しようとするのは無謀そうです。

一方、私が現在在籍する HoloLens 開発チームでは、Mixed Reality という、文字と比べればごくごく短い歴史しか持たない新しいメディアを使って表現をします。
きっと今後、多くの天才たちが、このメディアならではの素晴らしい表現を生み出していくのだと思います。
どのくらいの時間が必要なのでしょうか。数千年だとしても私はあまり驚きません。

それではまた。