CMSであるSitecoreには、マーケティング機能であるDMSという機能も付いています。
これは、例えばどのページにどれくらい訪問者がいるか、リピーターがどれくらいか、特定のユーザーにフォーカスしてそのユーザーがどのような行動をとっているかなどがわかります。
そのほかにも、コンテンツをユーザーによって出しわけるパーソナライズ機能やどちらのコンテンツが優れているかを検証するABテストなどの機能もあります。
このようにざっと書いただけでも、いろいろな機能があることがわかります。
これは長所である反面、短所にもなります。
つまり、全体の把握が難しいということです。
しかし、全体の機能を把握できなければDMSを適切に扱うことはできません。
というわけで、今回はSitecoreが搭載するDMS機能の概観について紹介していこうと思います。
SitecoreDMSにはたくさんの機能が備わっています。
それらの各項目について簡単に説明していこうと思います。
パーソナライズ
ユーザーの属性によってコンテンツを出しわけることができます。
例えば、男性にはAのコンテンツを女性にはBのコンテンツをといったことが可能です。
Amaoznを思い出せばわかりやすいかもしれません。
ユーザーによって表示される商品やカテゴリなどが異なりますよね。
あれがパーソナライズです。
パーソナライズのルールにはSitecore標準のものとカスタムのものがあります。
・Sitecore標準ルール
標準のものはSitecoreの機能で取得可能な指標、例えば初回訪問か否か、前回の訪問から一定期間経ったかなどです。
Sitecoreは、訪問者に対しユニークなCookieを発行するので、それを使って得られるような情報であれば、実装をすることなくルールの設定が可能です。
パーソナライズルールの例
・カスタムルール
標準ルールの他にもカスタムでルールを作ることができます。
例えば、ログイン済みのユーザーの属性情報(年齢、性別、セグメントなど)を取得し、それらに応じてコンテンツを出しわけることができます。
サイトごとの独自の指標にも対応できるので、柔軟性がありますがルールの実装が必要になります。
イメージ図
ABテスト
ABテストとはページ改修などに際し、何案かある場合にどれが一番効果的かを検証する目的で実施されるテストです。
AパターンとBパターンのページを用意し、それを同じ期間においてユーザーにランダムに出しわけることで実現します。
イメージ図
・設定方法
Sitecoreでは、出しわけの比率(Aは70%、Bは30%など)や期間を設定できます。
また3パターン以上でのABテストも可能です。
設定画面
・テストを実施する訪問者の割合
ABテストの対象とするユーザーの割合。
・統計
どれくらいの統計的信頼が得られればABテストを終了するかの設定。
・テスト対象
テストの指標とするものを選択する。
例えば、どれくらいユーザーがカートインしたかなど。
・期間
ABテストを実施する期間。
・結果確認方法
結果はこんな感じで見れます。
ゴール作成
独自の指標を設定することができます。
例えば、カートインや購入など。
通常はサイトのコンバージョンを設定するような使い方になるかと思います。
設定したゴールは、期間を絞ってどれくらい達成したかなどをアナリティクス画面で見ることができます。
パスアナライザー
ユーザーがどのようにページを遷移したかをグラフィカルに見ることができます。
GoogleAnalyticsの行動フローのようなものと考えてもらえればいいと思います。
特定のページでフィルタリングすることももちろん可能です。
また、ラベル表示機能というものがあり、それを使えば各ノードにページ名が表示されるので便利です。
(ただし動的ページは正常に機能しない可能性があります。)
ページアナライザー
パスアナライザーがサイト全体を俯瞰するアナリティクス機能だとすれば、ページアナライザーはページに焦点を当てた点を見るような機能ということができます。
以下のように、ページ単位のランディングや離脱、次にどのページに遷移したかなどを詳細に見ることができます。
FXM(フェデレーションエクスペリエンスマネージャー)
Sitecoreのゴール機能などをSitecoreを使用していない外部サイトでも使用することができる機能です。
エクスペリエンスプロファイル
パスアナライザーやページアナライザーは、ユーザーをサマリして表示する機能ですが、エクスペリエンスプロファイルはユーザーごとの行動を子細に分析することができる機能です。
1to1マーケティングで効果を発揮します。
ユーザーを一意に特定するのには、Sitecoreの標準Cookieを使う方法と、カスタムのデータを使う方法があります。
Cookieを使う場合は実装無しで実現できますが、ユーザーがCookieを削除した場合は別のユーザーと認識してしまいます。
カスタムデータ(ユーザーIDやメールアドレスなど)を使う場合は、実装が必要になりますが、ユーザーがログインさえすればいつでも一意に特定することができます。
なので、通常はカスタムデータを使用することになるかと思います。
(カスタムデータでユーザーを一意に特定するためには、実装が必要になります。)
以上、簡単ですがSitecoreのマーケティング機能の概観についてでした。
Sitecoreは、使える機能が多いので、まずは全体像を把握する必要があります。
また機能によって制約などもあるので、サイトの作りに応じてどの機能を使って、どの機能を諦めるかといった判断も必要になってきます。
その判断のためには各機能に対する詳しい知識が必要なのですが、そのあたりについては機会があれば書かせていただきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。