こんにちは、ネクストスケープのデリバリマネジメント部の吉野です。
この記事は「NEXTSCAPE Advent Calendar 2021」の22日目の記事です。
今回はPMPの関連資格であるPMI-ACPと合格に向けた勉強法についてご紹介したいと思います。
はじめに
弊社ではスクラムなどのアジャイル開発でプロジェクトを進めるケースが多いのですが、開発工程や担当者の役割がハッキリしている予測型(ウォーターフォールモデル)と違って、イマイチ勘所が掴めないという方も多いかと思います。
そんなときにひとまず資格取得を目標に学習していくと、使用する教材や勉強法が明確になって勉強しやすいのかなと思います。
アジャイル資格として有名なものに「認定スクラムマスター」がありますが、個人で受けるには研修費用が高額(30万円!)なので、PMI-ACPが取得費用や維持費用の面でオススメです。
PMI-ACPの概要
PMI Agile Certified Practitioner (PMI-ACP)とは、プロマネ系資格として有名なPMPを運営するPMIが、新たに認定を開始したアジャイル・プロジェクトマネジメントの資格です。
受験要件
受験要件は以下の通りです。
項目 | 要件 |
---|---|
最終学歴 | 高校卒業以上 |
プロジェクトマネジメントの実務経験 | プロジェクト・チームにおいて2000時間の実務経験(直近5年間) |
アジャイル・プロジェクトの実務経験 | アジャイル手法を活用したプロジェクト・チームにおいて1500時間の実務経験(直近3年間) |
トレーニングの受講 | 21時間の公式の学習(アジャイル実務に関するプログラム) |
実務経験は申し込み時のフォーマットを見ればわかりますが、そこまで細かく書く必要はないのでそれほど気にしなくても大丈夫です。
PMP取得済みであれば、アジャイルプロジェクト経験のみ申請で大丈夫です。
アジャイル・プロジェクトの実務経験が書きづらいと思いますが、過去にアジャイル開発のプロジェクトや研修に参加したことがあれば、その経験をもとに別プロジェクトでアジャイル開発に挑戦した、という感じで書いていくと書きやすいかと思います。
また21時間のトレーニング受講は、後述する通りUdemyなどのオンラインで大丈夫なので、費用的にも1万円以下で済みます。
受験費用
PMIメンバーでない場合、495ドルです。PMIメンバーの場合、435ドル(60ドル安い)になりますが、年会費が179ドル(うち日本支部会費が50ドル)かかります。
これだけ見るとPMIメンバーになるメリットは無いですが、PMIメンバーだとPMBOKガイドの最新版のPDFが無料(購入すると1万2千円!)でダウンロードできるという特典があります。
それだけでなく、3年ごとの資格更新費用も90ドル(非会員は130ドル)になり、更新要件である30時間の学習向けのコンテンツが無料で視聴できるようになります。
https://www.projectmanagement.com/Webinars/webinarMainOnDemand.cfm
更新要件を満たすための研修を普通に受けると軽く10万円くらいかかるので、それを考えるとPMIメンバーになった方がお得だと思います。
試験の申し込みについて
PMPとほぼ同様ですが、詳しくは以下を参照してください。
https://www.pmi-japan.org/pmp_license/pdf/PMI-ACP_ApplicationGude_Rel_1_1.pdf
PMI-ACP試験レポート
無事1回で合格しました。成績は以下の通り。
Agile Principles and Mindset | Above Target |
---|---|
Value-driven Delivery | Above Target |
Stakeholder Engagement | Target |
Team Performance | Above Target |
Adaptive Planning | Above Target |
Problem Detection and Resolution | Above Target |
Continuous Improvement (Product, Process, People) | Target |
合格点は65%のところ、感触的には80%以上取れていたと思います。
PMP合格時よりも手応えは良く、時間にも余裕がありました。
PMPよりもだいぶ難易度は低いと思うので、PMP取得済みの方であれば割と合格しやすいかなと思います。
勉強法
勉強時間
内容 | 時間 |
---|---|
自習 - Udemy | 20h |
自習 - 問題集 | 10~20h |
使用した教材など
まず受験要件として、PMP受験用の研修ではなく、ACP受験用の研修の受講(21PDU)が必要となります。 対面研修は費用が高額なので、以下のUdemyを受講しました。(キャンペーン中だと2千円以下になるときもあります!)
英語ですがスライドを多用しており、あまり内容を聴き取れなくても何となく理解できます。
私は遅くしても細かな内容まで理解できなかったので、1.5倍速にしてざっくり理解しました。(それでも十分見る価値はあります)
字幕(英語)も出せますが、自動翻訳らしく誤訳が多くて役に立たないので、字幕オフで良いかと思います。
よくわからないキーワードはすぐにググってノートにまとめてました。(これが重要!ACPは耳慣れないキーワードがたくさん出てきます)
問題集は以下の2つを使いました。
- Udemyの一番最後に出てくる演習問題(115問)
- 以下(ACP受験の決定版的なテキスト)の各章末の演習問題(各20問×7章=計140問)※残念ながら日本語版はありません
ちなみに私は英語だとあまり理解できないので、一度PDF化してからテキストデータに置き換えて、それをGoogle翻訳で日本語化したものを繰り返し解いてました。
どちらの問題集もまず1回解き、間違えた問題のみ繰り返し2回ほど解きました。
試験の内容について
試験の注意点
- 試験時間は3時間、問題数は120問(うち20問が採点対象外のダミー)
- PMPより試験時間で1時間、問題数で80問少ないので、多少余裕はあります。
- とは言え、やはり後半は集中力が切れてきてペースダウンしますのでテンポよく解くのが大事です。
- 以下は私の試験当日におけるペース配分です。(残り20分で見直しまで終了しました)
- 1問1分ペースで60問解く(60/180分経過)
- トイレに行きたくなかったので、トイレ休憩は取らずに残りの問題も解く(65/180分経過)
- 85問の時点で100分経過と徐々にペースダウンしてくる(100/180分経過)
- 結局残り30分で120問解き終わる(150/180分経過)
- 後で見直すマークを付けた問題(20問弱)を見直す(160/180分経過)
出題内容の特徴
- 日本語訳が微妙な問題はほとんどありませんでした。(ACPには日本語訳が難しいキーワードが出てきますが、それでも意味不明な日本語訳はありませんでした)
- 自習で使用した問題集とほぼ同じレベルの問題が出題されていました。
- 計算問題はあまり出なかった。(ストーリーポイントとベロシティーについて1~2問くらい)
- PMPに比べてあまり長文問題も出ていなかった印象。
- 問われている内容自体は同じで、役割やシチュエーションが異なる問題が何問か出ていました。
- アジャイルマニュフェストなど基本的な考え方や姿勢をしっかり理解することが大事だと思います。
- 特にウォーターフォールと比べて、アジャイルが大切にしている価値や優位性が何なのかを理解しておく必要があります。
- あとはアジャイルやスクラムに固有のキーワードをしっかりと押さえておくことが大事です。
まとめ
PMPよりも難易度は低めなので、問題集を繰り返し勉強すれば合格できると思います。
なおPMPと同様に試験時間が3時間と長丁場なので、できるだけ無駄なエネルギーを消費せずに効率よく合格点のちょい上くらい(70%)をクリアすることが大事です。
私はたまたま流れで休憩を取りませんでしたが、集中力を保つためにも効果的に休憩は取った方が良いです。
あと、わからない問題は余計な時間を使わずにさっさと捨てて、とにかくテンポよく最後の問題まで解き切るのが大事です。
最後の問題まで解き切ると、どんなに自信がなくても大体合格点の50%くらいは取れるので、あと15%分を上積みできれば合格できます。
逆に時間切れで10問~20問解けない状態で終わると、本来65%(78問/120問)で済むところが、78%(78問/100問)取る必要が出てくるため、合格は非常に厳しくなります。