NEXTSCAPE blog

株式会社ネクストスケープの社員による会社公式ブログです。ネスケラボでは、社員が日頃どのようなことに興味をもっているのか、仕事を通してどのような面白いことに取り組んでいるのかなど、会社や技術に関する情報をマイペースに紹介しています。

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好奇心とチャレンジ精神

こちらは、アドベントカレンダー4日目の記事です。

qiita.com

社会人1年目の娘が仙台に異動となり、11月から一人暮らしをはじめました。学生時代も自宅から通学可能な都心の大学で、寮生活などの経験も無いまま、業務引継や転居含めて4日間の準備で始まる1Kアパート暮らし。新しい生活環境に気を揉む家族を余所に、本人の表情は輝いていました。一人暮らしという自由への希望がそうさせているのでしょうか。 

 

 新しい環境に身を置くというのは発見の連続でもあります。海外に行けば道路標識や街灯の色に始まりあらゆるものが新鮮に見えます。今まで見てきたものが世界共通ではなかったこと、当たり前だと思っていたことが実に恵まれたことだったと気づく瞬間でもあります。娘をイタリア語通訳代わりに旅したナポリでも、突然午後の地下鉄運行が休止となり警官から駅を追い出され、きっぷの払い戻しを申し出ると「返金はできないから他で使え」と言われて唖然としたことも、ローマのアッピア街道からの帰りの路線バスで車内改札機が落下して粉砕されたことも、今となっては良い「常識発見」の思い出です。 

 

 「私はイスカンダルへ行く」今から30年前、大学生の私はトルコのカイセリという町バスの隣に座ったおじいさんに告げられ思わず「イスカンダル!?!?」と返します。平成令和世代の方に説明すると昭和のアニメ「宇宙戦艦ヤマト」では、銀河系外の星に向かうのですが、その星の名がイスカンダルだったのです。これは偶然?1960年代の原作でそんなトルコの田舎の地名を使うの?様々な疑問が渦巻くまま(当時は携帯電話もインターネット無い)帰国後に本を調べるとイスカンダルはアレキサンダーのトルコ語訛りで、マケドニアのアレキサンダー大王の征服都市アレキサンドリアの一つだったと判明します。若い頃にバックパックを背負って一人旅をしたスペイン、ポルトガル、トルコ、モロッコでは、毎日が驚きの連続で好奇心を刺激されっぱなしでした。 

 

 自分の常識は他人の常識を知ることで発見される事も多く、海外旅行はその楽しい機会でしょうし、転勤や異動、これも異なる文化を経験すること新しい常識に出会う貴重なチャンスと言えるかもしれません。新しい環境に身を置いたとき、自分の常識を発見し、好奇心を持って探求するのか、非常識だと怒り攻撃するのか、この2つの態度は「チャレンジ精神」の発揮と密接なのではないかと思うようになりました。 

 

 チャレンジ精神は有る・無いではなく、発揮する・しないものだと思います。チャレンジ精神を発揮する人は既知の世界にしっかりとした足場がありいつでも未知の世界へ踏み出せる状態で、発揮しない人は既知の世界の足場が弱く未知へ踏み出す前に足元を固めたいと感じる状態ではないかと考えます。これは良し悪しというよりは、置かれた状況が強く影響すると思いますし、ビジネスの対象によっても異なると思います。未知への好奇心を持てるかどうかは、その人の状況を知る一つの手がかりになるのかもしれません。 

 

 ネクストスケープは先月、日本ビジネスシステムズ株式会社の100%子会社になることが決まり、私達のオフィスも都庁隣のビルを出て、愛宕山の麓、虎ノ門ヒルズへ移転する事になりそうです。新株主、新オフィスという新しい環境で、来年はチャレンジ精神をどう発揮する・しないを決めていくのか私達に問われる年になりそうです。マス・メディアでも度々紹介される素晴らしい社員食堂や研修施設などの福利厚生学習環境と、グループシナジーを生み出しやすい協業可能性という「御膳立て」は、して貰ったわけですから。 

 

 ところで、私淑する若松英輔氏が御膳立てという言葉についてこんなことを書いています。「何もかも準備して貰って食べたいものだけ食べている者が、自分は食べていけると感じている、そうした者への素朴で強烈な警句なのだろう」 言い換えれば、何もかも自分で準備する苦労を味わい、誰かがやってくれた御膳立ての有難みを痛感することが自立の第一歩なのかもしれません。環境のせいにしてばかりいるのは、御膳立ての苦労を知らないのだということでもあります。なるほど、「御膳立て」という言葉が使われるのは、確かにこれを諭すような場面が多い気もします。 

 

 これまでの環境が合っている人、これからの環境が合わない組織、様々な状況が考えられますが、私自身は(足元は心許ないですが)自分の常識発見新しい常識の理解獲得につなげたいと考えています。今までの環境への感謝と、新しい環境への御膳立てに感謝を深める。せっかくのお膳立てを無駄にしないように、未知へ踏み出すチャレンジ精神を発揮したいと考えています。私の娘も杜の都で、何から何まで自分でやる御膳立ての苦労を噛み締めて、これまでの御膳立てに感謝してチャレンジ精神を発揮していると信じたい年の瀬です。