NEXTSCAPE blog

株式会社ネクストスケープの社員による会社公式ブログです。ネスケラボでは、社員が日頃どのようなことに興味をもっているのか、仕事を通してどのような面白いことに取り組んでいるのかなど、会社や技術に関する情報をマイペースに紹介しています。

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AIの民主化元年だった2023年

今年もNextscape最後のアドベントカレンダーを担います。小杉です。
2023年、どういう年だったかというと、何よりもOpenAI社のChatGPTが印象的でした。
ようやく、僕たちのようなSIerでも提供するシステムの一部、もしくはその中心にAIをIntegrateできる時代になりました。
お陰様で多くのお客様からAI関連のお仕事のお話をいただき、これまでは単純なプログラミング(主にパターンマッチ、ルールベース)ではできなかった、仕方がないから人でやるしかない業務(特に本当は人もやりたくない)を、生成AIで多くの部分を自動化するサービス開発を手掛けております。
 
さて、そんなまさにAIの民主化元年とも言える2023年でしたが、僕の日々の仕事とロードバイクを遠アーベル幾何学的に写像してみます。
 
ちなみに、僕自身が遠アーベル幾何学を理解しているわけではなく、望月新一先生の宇宙際タイヒミュラー理論を少しでも理解たくて
加藤文元先生の「宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃」を読んで言葉だけ使わせてもらっている感じです。
 
僕は曲がりなりにも社長なのでミッションとしては会社の成長であり、日々の仕事という意味では、会社の未来を描き、現実を「正しく」知り、その正しい現実(足元、地面)から未来に向けてどうすれば達成できるのかの課題(戦略ともいう)を設定し、それを実行する(やり抜く)ことです。
 
目標(中長期、単年度)設定
計数分析や競合分析
 
これは会社、という観点では上記のように4つのことに分解することですが、それが組織(会社より小さい単位)であれ、チームであれ、そして個人であれ、日々の仕事、という意味では同じだと思います。(多くの場合、個人(従業員)はやり抜くことだけに注目しがちですが、自分の未来を考え、正しい自分の現実をしり、どうすれば未来の自分に成りえるのかのアクションプランを考え、それを実行する、という意味では同じということです)
 
さて、上記の僕の日々の仕事
1:目標設定(想いと経験)
2:現実を知る(勇気)
3:アクションプランを描く(叡智)
4:やり抜く(GRIT力)
 を遠アーベル幾何学的にロードバイクに写像してみて、かつ、僕個人に当て嵌めてインスタンス化するとこうなります。
ちなみに、目標も現実も、それに向けたアクションプランも、やり抜く力次第によって大きく変わるので、最初に記述するのは、昨年度書いたアドベントカレンダーの直後に立案したものとなります。
 
1:2023年ツールド沖縄 市民50km フォーティ 優勝
2:FTP 280w 81kg 体脂肪率 11%
3ー1:FTPを300w以上、できれば350wにする
3-2:体重を70kgにする。
 
4:月1回のFTP計測、FTP向上のために、ベース期:LSD週4、SST週2、強化期:SST週3、Vo2Max週2、ロング週1、レース期:主に高強度トレーニング
ダイエットは、まあ、細かく書いても冗長なので、6月までに75kg(半年間で6kg痩せる、その後、5kg痩せる)
 
2023年ツールド沖縄は11月13日に開催されました。
 
それでは、1年たって実際の僕はどうだったでしょうか。。。
実際のアクティビティという意味で4,3と2,1の順に書いていきましょう。

4:やり抜く力
2023年冬
FESTIVE500をやり抜き、いい感じで年明けを迎えたけれども会食(飲み会)が多く、朝起きても寒いしお酒残っているから乗らない。
これではだめだと思って2月末に沖縄合宿に参加、刺激を受け、コーチから「所詮、趣味なのでやるやらないは本人次第であまり強くいうつもりはないけれども」×3(回言われた)
「小杉さんはお酒やめれば強くなれますよ」とアドバイス(と、捉えているが、実際は呆れられながら)を受ける。
自分は酒が強いから大丈夫と思っていたが、加齢(と痩せたことにより)とともに確かにお酒を飲むと朝起きたときにだるいしやる気が出ないし(寒いし)痩せないし(アルコールはゼロキロカロリーを信じたかった)、睡眠スコアが低いし、良いことない。
よし、やめようと決意。
 
2023年春
結局やめたのは1週間程度だけでやはりおいしい食べ物にはおいしいお酒でしょ。マリアージュ最高。
それに去年10位になってて(1位と1秒18差)何をどのぐらいやれば勝てるのか分かった(つもりになっていてそれは盛大な勘違い)。
もっと暖かくなってから頑張ればいいや。
GWのチームエンデューロではチーム5位、全然乗ってなかったのに理論上最高順位(僕はアンカーで誰にも抜かれなかった)。
6月のニセコクラシックでは当初のこの時点での目標75kg300wには遠く届かず、84kg。。。太ってるし。結果、足切り。
東京に戻ってきてからなんか体が怠く、全く練習ができなかった。(今思うとコロナに感染していたのかなぁ)
 
2023年夏
暑い。。。とてもじゃないけど外で走ることができない。何度も熱中症になりかかる(てかなった)。それなら朝走ればいいじゃん、と思ってもすでに朝5時台から30度越え。それなら夜走ろう、って走ったら今度は交感神経が活発になって夜眠れなくなって睡眠スコアがさらに低くなる。お酒もたくさん飲んでいた。2月の決意はどこ行った。
 
2024年秋
ようやく涼しく。。。なったのは10月入ってから。海外出張から戻ってきてからの3週間でギリギリ仕上げた感じで。
 
3と2:アクションプランと現実
FTP271w、85kg、体脂肪率15%。
はい、立てたアクションプランに対しては達成率0%どころか、マイナス。
昨対比、綺麗に脂肪だけ4kg増やしました。弱くなったうえに(FTP-9w)、重り(筋肉増えず、脂肪だけ)増やしてどうすんねん。
 
1:目標(結果)
38位でした
 
レトロスペクティブ
振り返りも何もないのですが、遠アーベル幾何学的に写像するといった手前、こっちから向こうに。一応、それぞれに。
1:目標設定(想いと経験)は妥当で適切だったか
2:現実を知る(勇気)は正しかったのか
3:アクションプランを描く(叡智)代替手段の検討や是正措置は取ったのか。
4:やり抜く(GRIT力)ために何をしたのか。
 
1:目標設定(想いと経験)は妥当で適切だったか
レース展開を置いておくと(土砂降り、激寒、独走逃げ切り)もし、当初のアクションプランをやり抜くことができていれば(たられば禁止)。。。
何より、黄色の優勝ジャージを身に纏い、表彰台の1番高いところに立つ自分を想像する(具体的にイメージを持つ)とワクワク(ここ重要)します。
僕の場合、オリンピックに出場します!は荒唐無稽。沖縄200kmは超重量級(70kgでもロードバイクの世界はヘビー級)の僕では目標になりえない。
50km完走、これはできるに決まっている。50km 10位以内はもうできたのでワクワクしない。じゃあ、表彰台以上、できれば優勝だな。
つまり、妥当だったと今でも思っています。
しかし、自分のavailavilityを考えると、で適切じゃなかったですし、春、夏のタイミングで目標設定を変更(10位以内とかね)するべきではなかったのか。
つまりこれまで(約10年)の経験が生きてない。
 
これを会社や個人の目標、ということに写像すると。
会社の場合、対象としている顧客やマーケットに対して、自社の資本力、人財力、技術力などなどを考慮に入れて妥当で適切な目標を設定することができるかどうか。確かめるためには主要なステークホルダーに対して公表し(IR)、なるほどね(納得感)って思ってもらってそこにワクワクしてもらえるかどうか(株価が上がる)。
 
 
個人の場合、目標を公表し(上司はもちろんだけれどもできればチームの中で)、自分のavailavilityを考慮に入れて、できると分かっていることではなく(コンフォートゾーン)、ストレッチゾーンに置かなければ達成できないこと。
そして、その目標を達成する自分を具体的にイメージすると心躍る(ワクワク)するかどうか。
 
 
2:現実を知る(勇気)は正しかったのか
体重計には毎日乗っていました。思うように体重が落ちないことも分かっていました。にもかかわらず、その現実から目を背けるように目標に対しての是正措置を取ろうとしなかった、つまり、もっと過酷なダイエット(進捗を理科張りするために)をしようとしなかった。
FTPも当然、上がっているわけないのに、そもそも知ろうとしなかった。なぜなら、FTP計測はきついから。どのぐらいきついかというと、終わった後に立てなくなる、しゃべれない、ぶっ倒れる、血の味がする、そんな感じです。月1回なんてやりたくない(泣)
 
写像すると。
会社は上場していれば、まずは株価が真っ先に思い浮かべるでしょう。上場していなくても日々の売り上げや月次の計数報告などもそれにあたります。
最近ではSNSや株の掲示板なんかも。
いずれも、うまくいっているときは経営者はそれを見ると喜びますし、うまくいっていない時は見るのも嫌なものです。
 
個人では評価がそれに当たることが一般的でしょう。場としては評価面談や会社によっては360度評価、それから最近ではLinkedInなんかも。
 
僕が現実を知る勇気、と言っているのはFTP計測にせよ、会社の株価、個人の評価を「正しく」知ることはとても勇気がいることです。
会社、個人の場合に評価が正しくない(高すぎる、低すぎる、共に)できるだけ多くの情報源にあたり、正しく自分を見つめることが重要です。
特に、会社でも個人でも自分を高く見積もると本来の目標はもっと高いところにあることになり、そこに向けてのアクションプランはかなり厳しく(多くの場合は達成不可能)になります。
良い時には慢心せず、嫌なことでも心を乱さず、透明に謙虚に受け入れることができるようになりましょう。そして、その機会をできるだけ増やし、アクションプランの変更のベースラインとして(本当は)日々、フィードバック受けることが望ましいけれども、勇気が要りますね。
 
 
3:アクションプランを描く(叡智)代替手段の検討や是正措置は取ったのか。
僕がここをなぜ叡智、と呼んでいるのかというと、日々の勉強は目標に対して(正しい)現実(それは地面、両足で踏ん張れる土台)から何をどれだけやれば到達できるのか、という道しるべ(戦略)と思っているのだけれども、実はそれ以上に、思うようにやりきれない時(それはつまり日常)にまずはリプラニングする(進捗をリカバリしないといけないので往々にしてより厳しくなる。)新たな理論や手段を身に着けることにより、これまでのプランよりもより効果的な戦略を見出すことができる。そのためにあると思っている。
自転車に関しては、パワートレーニング、心拍トレーニング、栄養学、運動生理学、筋トレ、レーステクニック、練習方法など、いろんな理論を学んできた。何をどれだけやればどのぐらいになれる、というのは分かっているつもり。
つまり、当初のアクションプランは妥当であったことが言いたい。進捗するにつれ、その叡智ではリカバリが効かない状況になっていった。
 
重要なのは、アクションプランの最初の立案よりも是正措置です。そのためには、先の二つ(目標と正しい現実)が前提です。
会社の場合、その前提が正しいのに進捗が思わしくない場合は戦術を変える、場合によっては戦略を変える。基本はより強化するですが、場合によっては複数の目標がある場合、やめる、諦める、捨てる、トレードオフするなんかも必要となる局面がありますが、その場合は目的を変えず、目標、ゴールを変更することになります。
 
個人にとっても同様の手段を取るのは変わりがないのですが、多くの場合は「叡智」が足らないことが多いのではないでしょうか。
つまり、何をどれだけやればいいのか分からない状態です。
新人の頃やキャリアをスタートしたばかり(職種を変えるなど)の頃は何をやっても成長する実感を伴いますが、基本的には学習は対数関数的(人によっては指数関数的ですがいずれはxの値のわりに成長しなくなる)であることを理解し、自分をストレッチゾーンに置くことです。そのためにはまずはできることをできる範囲でやります。本を読んでないのであれば「何の本を読むか」よりも「1冊でも多くの本を読む」
ことの方が重要です。その結果、叡智が積み上がり、不測の事態や、4ができなかったときのリカバリプランのカードが増えていきます。
 
あ、そうそう、「勉強をする」「本を読む」ことは人によっては「努力」だったり「トレーニング」のつもりかもしれませんが、知識を得ただけでは成長しませんからね。それをOutput(実践)しないと身につきません。
そう、勉強をしたり本を読むことは努力でもトレーニングでもなくただのinputです。
スポーツと仕事と違うのはトレーニングとレースや試合(本番)が明確に分かれていないから気が付きにくいですが。
 
 
4:やり抜く(GRIT力)ために何をしたのか。
まあ、結局、なんだかんだ言い訳を自分にして「やらなかった」からに他ならないわけです。当初のアクションプランは自分のavailavilityから考えて妥当だったとのか、というと結果妥当じゃなかったのかもしれない。けれども、計画を立てたときはできると思っていた。
それが日々の生活の中でやれなかった。
だったら目標を変更するしかないのだが、それもしたくなかった。
だったらやり抜くために自分自身の何かを変えなければいけなかったのに変えなかった。
 
会社の場合、規模が大きくなればなるほどやる事が増えていきます。それを抽象化してしまうと、本質的にできていないのにできたように見えてしまったり。KPIを設定してもそのKPIそのものが間違えていたりします。
 
個人の場合はほとんど僕のロードバイクのような状態だったり、今、目の前の作業や仕事に囚われてできない、ということになりがちですよね。
 
まとめ
ということで、いかに今年の僕がダメだったのか。。。という話ではなく。
AIの民主化というところから始めたこの話。
僕は実は、人間に残されたことはこの最後の4,やり抜く力だけになるのではないかと思っています。
最近のロードバイクはサイクルコンピューターというものがついていて、心拍数、パワー、スピード、距離、ケイデンス、空気抵抗やフォームなんかまで世界中のそれこそ世界トップ選手から僕みたいなアマチュアライダーまでのデータが集まっています。
これらを解析することによって、まず、何が変わったかというと、まず、2の正しく現実を知る、というのが変わりました。
パワーで世界の中であなたはどのぐらいですよ、とか、FTPなんかもそうです。
 
もちろん、値を誤魔化すこともできるわけですが、そういうデータは膨大なビッグデータの中に埋没したり、クレンジングする中で影響を与えません。
 
次に変わったのは、3です。何をどのぐらいやったらどうなる、という理論が確立され、AIが目標に対してその時の状況(トレーニングの進捗率や疲労度など)を基にトレーニング計画を立ててくれ、適切に(思ったように伸びてなければできるように、伸びていればさらにきつく)動的にトレーニング計画を作成し、提供してくれるようになりました。
 
で、残っているのは1と4の領域です。
1に関しては、その人の想いや経験というものに大きく左右されるので一見、そう簡単にAIが介入する余地ないように見えるかもしれませんが、僕がオリンピックで金メダルを取る!みたいな目標を設定してもそのトレーニング計画は破綻する(計画は出せても絶対にできない、もしくは成長しない)わけですから、少なくとも、荒唐無稽な目標は立てることそのものはAIがデータを基にrejectできるでしょうし、なんなら、あなたならこれかこれのレースならワンチャン勝てるかもよ、どうよ?みたいなことぐらいは介入できると思います。
 
では、4の領域、やり抜く力はどうでしょう。
もちろん、ゲーミフィケーションや報酬系(懲罰も)なんかをうまく駆使して個人や組織をその気にさせてAIが介入することができる世界線もあるかもしれません。
実際、事あるごとに、サイクルコンピューターなどは今日は100kmを最速で走ったね!とか、このコースでローカルレジェンドだよ!とか、今年の中で3番目にパワー出てたよ、
などは言ってくれます。(上司やコーチよりもよっぽど多く褒めてくれるのかもしれません)
ひょっとしたら、日々、仕事をしていたらAIがあなたは頑張った(結果を出した)からご褒美にボーナスを上げます、とか、給与UPですなんかも来るかもしれませんね。
が、そのような世界は人がAIに支配される(Copilotじゃない)世界線でしょう。
それに、人はそれだけでは必ずしも動かないということも分かっているわけです。(内発動機が重要ね)
 
2023年はAI民主化元年かつ、ダメダメな自分に(分かっていたけど改めて)気づかされた年だったからこそ、やり抜く力、GRIT力、それこそが人に残された最後の力で、そして、どんな世界線においてもこれを身につけておけば大体OKなんだな、ってことを認識させられた年でした。
 
最近、私の友人からイチローさんの下記のインタビューを紹介されました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ac4cb64151f7749415d7ba95caa4b21853b19070
 
https://new-ladder.com/ichiro-effort/
 
2024年は小さな努力を積み重ねていこうと思います。
まずはお酒を止めようと思います。