この記事は「NEXTSCAPE Advent Calendar 2024」の14日目の記事です。
2024年から2025年にかけての年末年始休暇は、12月28日(土)から1月5日(日)までの9連休という方も多いのではないでしょうか。
もしかしたら、前後に有給休暇をくっつけて、10日超えの連休にする、という方もいらっしゃるかもしれません。
そんな長期休暇にこそオススメしたい書籍をご紹介いたします。
私が積読している書籍もありますが、この長期休暇を機に一緒に読んでいきましょう。
マネジメント系
『ピープルウェア ヤル気こそプロジェクト成功の鍵』(トム・デマルコ、ティモシー・リスター)
1冊目は、いわゆる”デマルコ本”と呼ばれている、トム・デマルコ著のマネジメント本の中の一冊です。
アメリカで1987年に初版が出版されていますので、40年近く前の本です。1998年には改訂した第2版、2013年にはさらに改訂が加えられた第3版が出版されました。
古い本ではありますが、いまだに良書として紹介されるほど息の長い本です。
さて、次の文章は、本書のテーマを端的に表していると思う文章です。ソフトウェア開発のプロジェクトに多く入ってきた人ほど、頷けるのではないでしょうか。私自身、初めて読んだときは何度も大きく頷いてしまいました。
実際のところ、ソフトウェア開発上の問題の多くは、技術的というよりは社会学的なものである。
『ピープルウェア』第2版 P4
弊社はリモートワークの社員も多く、場合によっては直接顔を合わせたことのない社員と一緒にプロジェクトを進めることもあります。
そうすると、問題となりがちなのは技術的なことよりも社会学的なもの。つまり、人に関することです。
できる限りプロジェクトを成功に近づけるためには、人に関するトラブルは避けたいですよね。
本の内容は高尚な理論、ではなくソフトウェア開発の現場あるあるがまとまったようなもの。
ユーモアある文章で書かれていますので、読みやすいです。
個人的に、オフィス環境を書いている章が、在宅勤務の環境を作るのに参考になりました。
集中できる環境づくりというのはとてもとても大事だな、と思いました。
プロジェクトメンバーにヤル気を持ってもらうためにはどうしたらいいかを悩んでいる方にオススメの書籍です。
『PMBOK®ガイド第7版対応 アジャイル型プロジェクトマネジメント』(中谷 公巳)
2冊目は、プロジェクトマネジメント知識体系ガイド、通称『PMBOK®ガイド』第7版に対応したアジャイル型プロジェクトマネジメントの解説と、プロジェクトによる価値の実現、そして成果を上げる最高のチームづくりをテーマにした本です。
勉強されている方は周知の事実ですが、『PMBOK®ガイド』第7版は、それまでの第6版から大きく変わりました。
第6版までは、プロセスベースのプロジェクトマネジメント方法でした。
しかし、2022年に発売された第7版からは、原則ベースのプロジェクトマネジメント標準に変わったのです。
理由は、実際のプロジェクトの半分程度は、ウォーターフォール型ではなく、アジャイル型やハイブリッド型が使用されているため、とのこと。
今までずっとプロセスベースを勉強し、実際のプロジェクトにもできる限り適用しようとしてきた身としては、急に原則ベースと言われてもなかなか受け入れられず、『PMBOK®ガイド』第7版の理解が追いついていませんでした。
本書と『PMBOK®ガイド』第7版と見比べることで、少しずつ理解できてきたような気がしています。読み終える、ましてや理解するには時間がかかりそうですが、年末年始も読んでいきます。
『PMBOK®ガイド』第7版を受け入れるのに苦労している方や、アジャイル型プロジェクトマネジメントを知りたいという方にオススメの書籍です。
技術系
『悲劇的なデザイン あなたのデザインが誰かを傷つけたかもしれないと考えたことはありますか?』(ジョナサン・シャリアート、シンシア・サヴァール・ソシエ)
3冊目は、著者が考える「ひどい」デザインが、どんな形で人を傷つけるのかを紹介し、その悪影響とそこから得られる教訓がまとめられた本です。
せっかく開発するのだから、使いやすいシステム、使いたいと思われるシステムを作りたいと考えるのは、エンジニアあるあるだと思います。
その考えが強く出てしまい、力が入りすぎた結果、使いづらいデザインになってしまうことも。
しかし、本書を読むことで、これはやっちゃダメというデザインの NG パターンを学ことができます。
知識があれば、意図せず人を傷つけるようなデザインを作ることを避けることができます。
デザインをまったく勉強したことのない私にも理解することができるくらい、画像が豊富で説明もわかりやすいです。
人が触るモノやサービスのデザインをしている方や、これからデザインを始めようとする方にオススメの書籍です。
『ていねいな「文章大全」 日本語の「伝わらない」を解決する108のヒント』(石黒 圭)
4冊目は、最後まで読まれる文章の書き方を、108課にわたって徹底的にトレーニングする本です。
2024年から2025年にかけての9連休は、この本を読むためにあると言っても過言ではない!……かもしれません。
文章を読み書きするのも仕事のうち。
そうは言っても、最後まで読むのに苦労する文章を目にすることがありますよね。
そして、自分も読みづらい文章を書いているのではないか、と不安になりました。
感じた不安を解消するため、タイトルに惹かれて本作を購入。
届いてびっくり。
大全という名の通り、500ページを超える大作でした。
仕事や家事、育児に追われる状況でこの本を読み進めることは容易でありません。
そのため休みの間、しっかりと腰を据えてこの本に取り組むつもりです。
私と同じように、読みづらい文章を書いているんじゃないかと不安に思う方にオススメの書籍です。
エンターテイメント系
『天久鷹央の推理カルテ』シリーズ(知念 実希人)
5冊目は、2025年1月1日よりアニメ放映が始まるメディカル・ミステリーのシリーズです。
医療ミステリは、外科医を中心として医局内の権力闘争を描くものを目にすることが多いですが、本作は頭脳明晰、博覧強記の天才女医・天久鷹央が、診断医としての能力と知識を駆使して事件を解決に導いていきます。
しかも、主人公が解く謎は、病気だけではありません。警察でさえ解き明かすことのできない謎も解き明かしていくのです。
こちらのシリーズは、2025年12月14日現在、短編集を含めて16巻刊行されていますので、長い休みに一気読みすることもできます。
今までの医療ミステリとは違う作品を読みたい方にオススメの本です。
ちなみに、こちらの作品の著者は、現役医師の方だそうです。
おわりに
年末年始などの長い休み。予定を立てずにのんびり過ごすのもよいですよね。
ですが、仕事のことを考えずに集中してもいい期間と思って、今までページを開けなかった本に挑戦してみるのもよいのではないでしょうか。