この記事は、
今年も最終回は社長の小杉智が担当します。
人はなぜAIの言葉には素直になれるのか
最近、ふと不思議に思ったことがある。
人はAIからのアドバイスなら驚くほど素直に受け入れるのに、同じ内容を人間から言われると、なぜか反発してしまうことがある。
それは単なる「機械だから」という理由ではなく、もっと無意識の深いところで、僕らはAIの言葉を“偏微分”して受け取っているのではないか、そんな感覚を覚えた。
あるスポーツのトレーニングで見た光景
あるスポーツのトレーニングでの話だ。
「もっとこうした方がいいよ」と人間が何度もアドバイスしていた相手がいた。しかし、その人はなかなか素直に受け取れず、改善もしなかった。
ところが、同じ内容をAIから提示された瞬間、態度が変わった。
苦しいトレーニングにも黙って取り組み、結果として明らかに実力が伸びていった。
その姿を見たとき、僕は考え込んでしまった。
なぜ同じ言葉なのに、発信源が変わるだけで、ここまで受け取り方が変わるのだろうか。
人間のアドバイスが抱える弱さ
人が人にアドバイスをするとき、どうしても感情が入り込む。
何度も同じミスを指摘して、それでも改善されないと、イライラしてしまう。
気づけば言葉は厳しくなり、相手の人格にまで踏み込んでしまうこともある。
ソースコードレビューは、その典型例だ。
レビューとは本来、未来を明るくするために行うものだ。
できている点を一度確定させ、その上で改善点を示す。
それが理想だと、誰もが頭ではわかっている。
しかし、何度も同じ指摘を繰り返すうちに、人は疲れ、厳しくなり、結果として相手の未来を暗くしてしまうことがある。
AIは何度でも、同じ温度で言える
一方でAIは違う。
同じ指摘を、何度でも、同じ温度で繰り返せる。
感情も、失望も、苛立ちもない。
だからこそ、受け取る側は無意識に「言葉の純度」だけを取り出せる。
余計な文脈や感情をそぎ落とし、必要な部分だけを偏微分するように理解できるのだと思う。
僕らはAIに負けてしまったのか
では、人間はAIに負けてしまったのだろうか。
アドバイスの役割を、すべてAIに譲るべきなのだろうか。
僕は、そうは思わない。
「この人に言われたから頑張る」
「この人は自分の未来を信じてくれている」
そう感じた瞬間に、人が飛躍的に伸びる場面を、僕は何度も見てきた。
感情があるからこそ、傷つくこともあるが、感情があるからこそ、救われることもある。
それでも、人の可能性に賭けたい
AIの強さを認めつつも、
人の未来を信じて、何度でも根気強く向き合い続けること。
それは非効率で、時に報われないかもしれない。
それでも、その先にしか生まれない成長がある。
僕は、その可能性に賭けたい。
AIがどれだけ進化しても、人が人に本気で向き合う価値までは、置き換えられないと信じている。