5回目の登場です。浜野です。
今年からまたレンダリング事業(?)に復活しましたのでAzure Batch Renderingについてご紹介させていただきます。
※記載事項に間違えがありましたらご指摘ください。
1.3DCGレンダリングとは?
3DCGを制作する過程ではまず3Dシーンファイルと呼ばれる下記の図の左側にあるメッシュ模様の形状データ(ポリゴン)を作成、次にその形状データに対し各要素(表面の色や質感、また照明やカメラ(視点))の位置などのデータを設定いたします。
レンダリングは、そのソフトウェアのシーン上で設定された各要素を計算し、2次元の画像として描画する作業になります。
ピクサーなどのフルCGの映画では、この画像を何枚も用意して結合し、パラパラ漫画のように連続して再生することで動画として見ることができます。
※フルHDの場合1秒間に30枚、4Kでは1秒間に60枚もの2次元の画像が必要になります。
ちなみに、3DCG制作用のソフトウェアのメジャーどころでは、Autodesk Maya 、Autodesk 3DS Max、Blender、Cinema4D などがあります。
2.3DCGの制作現場で抱える課題
このレンダリングという作業を行う制作現場ではいくつか大きな課題を抱えています。
①レンダリング時間
ハードウェアならびに制作ソフトウェアの進化と相まって、高品質、高解像度、処理量の増加が加速、レンダリングにも時間がかかります。
②HWリソース
ピーク時に合わせたHW設計をしているわけではないため、プロジェクトが重なるとリソースの奪い合いになります。
③ リテイク
3DCGの制作現場では、発注元等からの指示により何度かやり直す作業が当たり前のように発生している。
CGクリエイターは高品質で完成度の高い作品を作り求めますが、制作現場のHWリソースがいつでも潤沢に使えない環境が多く見受けられます。
また、4K8Kの登場で今後は益々レンダー需要が高まっていくことが想定されていますが、どのくらいの需要を見込んだらよいのかの判断が難しく、設備投資計画が難しい状況でもあります。
3. Azure Batch Renderingとは?
Azure Batch Renderingとは、Microsoft Azure上で構築されたAzure Batchサービスで3DCGレンダリングを行うサービスです。クラウドの潤沢で且つ柔軟性の高いコンピューティングリソースを利用することで、ユーザが使いたいときに必要なだけ使え、ユーザの無駄なハードウェア投資、または受注できないといった機会損失が解消できます。
現時点で利用できるレンダーソフトはAutodesk Maya、3ds Max、ArnoldとChaos Group V-Rayの4種類です。
4.Azure Batch Renderingの特徴
①Azureの料金にライセンス料が含まれる
Azure Batch Renderingの利用時にはAzureが提供する各ソフトウェアのライセンスが利用できます。手持ちのライセンス数を気にせず大きくスケールアウトすることができます。
②物理コア
AzureのVMは(サイズにもよりますが)物理コアのマシンを利用することができ、仮想コアのマシンに比べ計算処理を高速に回すことができます。
③Maya Plug-in
ディスパッチャーを利用していない比較的小規模な制作環境においては、3DCG制作ソフトウェアから直接ジョブをAzureに投入することができるPlug-inが用意されています。(現時点ではMayaのみ)
5.まとめ
4の特徴までレンダリング時間と設備投資コストの圧縮について書きました。
個人的にですが、単にオンプレのレンダーファームの置き換えや増強・増設ということではなく、クラウドを利用することでレンダリング時間を圧縮できた分はクリエイターがよりクリエイティブに使う時間が増えるということであり、より作品の完成度を高めることができるという事なのではないかと感じています。
※クリエイターの皆様が読んでいたら、現場知らないお前が何言ってんだって言われるかもしれませんが、、、
6.最後に
この記事はあくまでAzure Batch Renderingをネイティブのまま活用した時の場合であり、実際には各制作環境における制作ワークフローやディスパッチャー、利用しているプラグインやそのライセンス、ネットワーク環境など様々なことを考慮しないと導入は難しいです。
もし第2回を書くことがありましたらそのあたりのことを小出しにして記載したいと思います。