こんにちは。SAの鈴木です。
今年もアドベントカレンダーに参加する機会をいただいたので、イキナリですが「人間理解」についてエンジニアチックに考えてみたいと思います。
- はじめに:AIの熱気の中でふと思うこと
- 課題:なぜか伝わらない相手
- 伝わらない理由①:自分と相手のレンズの違い
- 伝わらない理由②:自分がデフォルトのまま
- 伝える方法:人間を理解する
- ついでに:プロジェクト推進についても考えてみる
- おわりに:技術も人間も大事
はじめに:AIの熱気の中でふと思うこと
最近、生成AIをどう活用するかといった話題をよく耳にします。
プロンプトの工夫、生成AIツールの組み合わせなど、エンジニアとして「どう使いこなすか」を考えるのは当然の流れだと思います。
もちろん、ネクストスケープでも活発に意見交換をしています。
※生成AIについての情報は、弊社ブログにもたくさんの情報がありますので、ぜひご覧ください。
そんな毎日を過ごしている中で、最近こっそり思っていることがあります。
AIが進化しても、人間同士のやり取りでつまずく人はあまり減ってないような…
AIを使いこなすのと同じくらい、人間を理解することもエンジニアリングなのではないか。
課題:なぜか伝わらない相手
「理屈は正しいのになぜか伝わらない」
エンジニアに限らず、このような思いを一度は経験したことがある方が多いのではないでしょうか。
でもそれを「自身のおしゃべりセンスの問題」と片づけるのは、ちょっともったいないですし、ましてや「相手の理解度の問題」と決めつけてしまったら、そこで自分の学びが終わってしまいます。
もし、噛み合わない理由が「人間の脳のクセ」にあるのだとしたら…
そう考えると、まだ改善の余地がある気がしませんか?
伝わらない理由①:自分と相手のレンズの違い
私たちは、これまでの経験をもとに作られたレンズ越しに世界を見ているのだと思います。もちろん、相手は相手のレンズを通しています。
このレンズには、単に「目の前に見えている情報」だけでなく、その人が当たり前としている「前提」や「判断基準」も含まれています。
つまり、同じ出来事を見ていても、人によって最初から見える世界が違う。
そう考えると、相手に伝わらない理由のひとつはレンズの違いなのかもしれません。
視点を変えると、うまく伝わらないのは言葉(相手へのインプット)だけの問題ではないと考えられそうです。
プログラムが入力だけでなく、データやロジックでもアウトプットが変わるように
人間も言葉(入力)だけでなく、経験・価値観(データ)や思考パターン(ロジック)で結果が変わります。
この前提に気づかずにやりとりをしたら、ただ正しいことを言っても(入力が正しくても)想定通りに伝わらない、という現象が起きるのかも。
伝わらない理由②:自分がデフォルトのまま
ところで、自分の「思考パターン」や「伝え方」などは、意外とデフォルト設定(無意識)のままになっていると思いませんか?
何をどう考えるのか、どんな言い回しを選ぶのか、どんな情報を重視するか、それらのほとんどが無意識に決まっているように思います。
エンジニアなら、デフォルト設定を理解せずに運用する怖さは想像がつくと思います。
人間も同じで、自分の設定(クセ)に気づかないまま他人と接すると、思わぬ食い違い(バグ!?)が起きる気がしませんか?
自分も相手も全く悪気がなくても、衝突やすれ違いが起きるのは、その設定の違いと考えられるのかも…
これも、伝わらない理由のひとつになりそうです。
伝える方法:人間を理解する
「人間理解」というと、"コミュ力" や "やさしさ" といった、ふわっとしたものを想像してしまいますが、実際はもっと構造的に考えられるような気がします。
- 相手がどんな前提で考え、どんな情報を処理しているのか調査(観察)
- 自分の言葉が相手にどう解釈されやすいか検証
- もし齟齬が起きたらデバッグ
調査・検証・デバッグみたいなのって、エンジニアの得意分野ではないでしょうか?
そう考えると、「人を理解する」ことって案外エンジニアリングに近いのでは、と私は思います。
ついでに:プロジェクト推進についても考えてみる
ネクストスケープには「顧客と溶ける」というすばらしい文化があります。そして、我々は常日頃から「インタビュー」の大切さを社長から伝えられています。
顧客との対話で感じること
顧客とお話をしていると、顧客自身が「本当の思い」や「本質的な困りごと」をそのまま言葉にできていることは、実はそれほど多くないのではないかと感じます。
「こういう機能が欲しい」と言っていてもそれは "手段" でしかなかったり、「ここに困っている」と言っていてもそれは "症状" だったりして、"根本課題" とは限りません。
たとえば
「通知機能をつけて欲しい」と言われても、根本にあるのは「情報が埋もれて業務が滞ることへの不安」かもしれません。そうであれば、通知よりも、業務の優先順位が見やすい仕組みの方が喜ばれる可能性もあります。
「ダッシュボードを見やすくして欲しい」と言われても、実際は上司に数字を説明することへの心理的負担が背景にある場合もあります。
プロマネとしてできることは何か
こうした顧客の本音は、相手への興味や理解力があるほど見えてくるものだと感じています。
相手の言葉をそのまま表層で処理せず、「脳内でどんなプロセスを経て、その言葉が出てきたのか?」と想像してみる。
言い換えると、顧客の言葉の裏にある意図や制約、感情を見るイメージです。
こういった力を持つことは、AI時代にプロマネが生き残る術のひとつになるかもと、最近思ったりします。
AIが得意なのは「知識の再現」だとしたら、AIが出す答えを「どう扱うか」「どう伝えるか」は今のところ人間が担っていると思うので。
なんだかんだいっても相手を理解するのが大事
自分がどんなレンズで世界を見ていて、どんな問いを立て、どんな言葉で伝えるのか。
同様に、相手にはどんな背景や前提があるのか。
それを意識してチューニングできれば、プロジェクト推進ももっとやりやすくなるのではないかと思いました。
余談になりますが、チーム内でどれだけAIが使いこなせても、コミュニケーションが機能しなければプロジェクトは前に進みません。
むしろ、プロジェクト推進においてAI活用が日常化していくからこそ、その差が縮まった先に、「人間を理解する力」の差が結果に反映される時代が来るのかも。なんて思ったりもします。
おわりに:技術も人間も大事
人間は意外と自分の思考のクセを知らない。
そのあたりの仕組みを知るだけで、相手の意図をくみ取りやすくなり、結果として対話の中で共創が育まれていくのではないでしょうか。
テクノロジーが進化しても、結局は人がどう動くかというのが、今のところはプロジェクトの成否に影響してしまいます。
だからこそ、外側の技術を使いこなすように、内なる自分や人間の仕組みを理解することも、大切だと信じたいです。
技術はどんどん進化し続けますが、人が何かを理解し、動き、変化していくプロセスはそんなに変わらないので、身につけられれば長く使えそうな気がします。
そんなこんなで、「人を理解する」力もエンジニアリングと捉えてもいいのかなと思いました。